いやー、このお宿はスゴイ!
何が凄いかと言うと、
歴史的にも、文化的にも、素晴らしいものをお持ちでいらっしゃる。
…のはアタリマエで、
それ以上に、湯遣いがスゴイ!!
『中棚荘(なかだなそう)』@長野県小諸市
小諸駅からもほど近く、
どちらかと言うと、秘湯のお宿と言うよりは、
使い勝手のよい、リゾートと言う感じ。
私なんか、東京から小諸駅までの高速バスに乗って、
爆睡してたらすぐですもん(笑)
そんなに手軽なアクセスなのに、
この深い緑と、
エントランス前のこの解放感(笑)
そして、山羊さん(笑)
大体玄関前でスタンバってますので、
お目にかかれるはずです(笑)
今日のこの日は、ちょっとしたイベントごとのお手伝いで、
2泊3日でお伺いさせていただきました◎
歴史的にも、文化的にも~と、先ほど書かせていただきましたが、
それは本当にそのとおりで、
島崎藤村の『初恋』
りんご風呂
重要文化財指定の『はりこし亭』
みな、このお宿の範疇です。
島崎藤村のゆかりの宿
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
島崎藤村『初恋』
明治の文豪・島崎藤村は明治32年、
小諸義塾(私塾)に英語と国語の教師として赴任、
足掛け7年ほどを小諸で過ごしています。
「もっと自分を新鮮に、そして簡素にすることはないか」と自らに問い、
小諸で結婚し、子供を設け、文学者となる決意をしています。
藤村にとっては、小諸時代と呼ばれる重要な時期だったのです。
そんな藤村を小諸で支えたのが小諸義塾の塾長・木村熊二。
そして足繁く通ったのが中棚荘(当時は中棚鉱泉)です。
アメリカで医学を学んだ木村熊二は、中棚付近の湧水を使うと、
切り傷の治りが早いことに気づきます。
木村熊二が協力し、明治31年に開湯したのが中棚鉱泉です。
(中棚荘HPから引用)
この鉱泉、実はまだあるんです。
今はもう使ってはいないのですが、
鉱泉=冷たい温泉、
アスリートがアイシングをするように、
この冷泉を活用できないか、今現在、模索されているともお聞きしています。
貴重な鉱泉、浸かれる日が来るといいな…♨
初恋りんご風呂
前段の島崎藤村のそんな話もあり、
長野と言えば林檎、と思ってはいましたが、
こんなに贅沢にも、
そして期間も長く(10月~5月)やってくださっている林檎風呂って
そうそうないのでは…♨
林檎風呂までは…この長い廊下を行き、
さらに石段をあがり…
上がり切ったところにある、内湯と露天風呂。
お湯はアルカリ単純温泉、
湯温はぬるめ(源泉温度38度を加温と思われ)、
万人にやさしい温泉です◎
大きなお風呂としては、男女別この大浴場と、
ちょっと隠れ湯チックなこちらの家族湯、
そして、あとはお部屋全室にある浴槽、
これ全部源泉100%使ってます◎
ここまでなら、温泉好きなら「ほほ~」と言ったところでしょうが、
「湯遣いがスゴイ!」と言ったのはこんなレベルではなく、
全水道、
そして、ウォシュレットまで(!!!)、
やわらかい単純温泉がなせる業!!で、
全館・全室・全水、温泉ですっ♨
さて、泊まらせていただいたお部屋はこちら、
『104号室 雲』
「随筆『雲』より」と書いてあるところを見ると、
これも島崎藤村ゆかりのものなのでしょう。
扉を開けると、円いちゃぶ台!
奥の間には、おこたと縁側。
でもさらに奥にはベッドルームもあり、
もったいないくらいに広々ゆったりスペース。
縁側で、日が暮れるまでぼーっとしているのも気持ちよさそう。。
汲みたての源泉は、アワアワでこんな濁り色◎
最後には透き通った色に。
飲んで、心地よし、
癖なし、まろやか。
これを、飲み水どころか、ウォシュレットまで(!!!)使っているとは…
こんな湯宿、聞いたことがありません(笑)
ね、ほんとスゴイんですよ…♨
いつの季節にお伺いしても、
綺麗なお花で飾られている館内。
宵闇迫るエントランス、いい雰囲気です。
今宵お夕食会場は、草風亭にて。
昔のすりガラスかな? レトロな雰囲気がたまりません。
実は本日は、団体様ご一行。
本日のお品書き。
順にお料理が次々と。
もちろん、日本酒あり、
中棚荘で手掛けているワイン(!)もあり、
なかなか迷ってしまいますね…(笑)
さわやかにさくっと揚げられた天麩羅に、
中棚荘の白ワインを合わせてみました◎
お薦めです♡
美味しく、楽しくいただく宴は、
あたりが宵闇に包まれても続いて…
翌朝。
五月晴れの中棚荘。
朝食のお仕度は、昨晩と同じ、草原亭にて。
朝食も、美味しく頂戴いたしました◎
もうひとつ、最後に取っておいた名物を。
登録有形文化財『はりこし亭』
…重厚な、趣ある建物です。
普段は、日中はお食事処として使用されており、
過去、ランチに利用させてもらったこともあります。
たまに、こういった大人数での貸切利用も対応されているようで、
趣を活かした和婚=和装の結婚式の会場にも使われているそう。
こんな歴史あるゆったりとした空間でお式を挙げ、
隣接の『中棚荘』でお泊り。
いいですね、そういう記念日も。
あ、そうそう、
女将さんがおっしゃってたのですが、
「島崎藤村ゆかりの宿」と聞いて来た若い女性の方が、
「ふじむらゆかりさんって誰ですか?」と(笑)
そう尋ねてこられる方もいらっしゃるのだそうです。
時代の流れ、か、文化の継承が浅いのか…(笑)
幸い、隣県新潟に住んでいたこともあり、
島崎藤村、私はちゃんと存じ上げてましたよ^^
歴史ある小諸の町にある、古からの温泉、中棚荘。
林檎を見ると、つい思い出してしまう、
そんな良宿です◎
【中棚荘HP】→http://nakadanasou.com/
(分析書)