『高天原温泉』=タカマガハラオンセン。
温泉マニアの憧れの秘湯。
歩いてしか行けない温泉で、
それも山道を、1日ではたどり着けなくて、辿りつくだけでも一泊二日、とか…。
「そんなめんどくさい温泉、ぜってー行くなんてことは、ないッ!」
そう思って数十年。
温泉ココロに火が付いて、あんな湯こんな湯全国各地浸かってくると、
行ったことのない温泉に浸かってみたくなる。
「待てよ…。将来行きたいって思っても、今より絶対体力落ちてるはず。
だったら、行けるうちに行っておいたほうがいいんじゃない!?!?」
そう思い立ったら早い、
「隊長! ワタシ、高天原温泉に行ってみたいです!」
*****
2018年7月某日
当日の早朝出発に備え、前ノリした富山市。
富山の夜は美味しい日本酒と日本海の魚と…
まぁ、それはさておき。
いよいよ本番の当日、時間にして朝5時、
あの、うっすら煙る黒部の山々に向かって車を走らせ…。
ゲートオープンを待っての、想定通りの渋滞。
6時、ゲートオープン
7時には予定通り、折立へ到着。
ここで、隊長から今回の行程の説明が。
ちょっと細かくてよくわからないかもですが、左上がスタート地点の折立、
そこから右下に降りてきて交差するあたりが太郎平小屋、
そのまま直進で薬師沢小屋(一泊目)、
上の方の道を通って高天原山荘(二泊目)、雲ノ平山荘(三泊目)、
薬師沢→太郎平を通過して折立へ。
その距離約60キロ!
徒歩で…それもこんな夏の山道を、60キロも歩くなんて。。
でも! 気合い入れて!
行くぜ! 高天原!!
「ワタシは温泉行くために山登ってんのよ!」アピール用の、
毎度のケロリン手桶を携えて。
(実はこのケロリン桶が、まず最初の折立のトイレで大活躍!
水が溜まりにくかったため、水道から水を汲んで流す、という…(^^;)
8時、折立の入り口。みな、爽やか笑顔✨ ここからスタート!
季節は2018年7月中旬。
青い空がさらにいっそう蒼く見える夏。
ひたすら、わが足で歩くしかない修行の道…。
途中ご飯タイムでゆで卵を向いてたら、シジミチョウが。
太郎平まではこんな道。
「え? これが山道?」と思われるかもしれないけど、
木陰のない山道って…地獄です(笑)
7月の、それも太陽に近づくこの距離じゃ、本当に焦げちゃうって思うほど。
流石に手の甲がヒリヒリしてきたので、手袋着用しましたよ。。
途中、水場もなく、こんな道が長々と続き、
暑さと熱さでヘロヘロになりながら、中継地点の太郎平小屋に到着!
嗚呼、なんていい眺め!
実は私たちは先発隊。
なので多少の時間的猶予あり、と踏んで、
ランチタイムもちょっと余裕ある感じで~
(この時点で13時)
ネパール人直伝!ネパールカレー(並)1,000円
(普通のカレーライスもあり)
太郎平小屋の生ビール!
マンモス印がなぜだか気になるけど(笑)美味しかった♡
実はここまでが木陰のないカンカン照りの空の下。
そのあとは幾分か歩きやすい道になり、
途中、冷たい川でアイシングをしつつ、
17時、薬師沢小屋着。
おぉお~! 缶ビールやらが冷えてる♡
↓斜めっている…。
今日の寝室。
早速汗まみれな服を清流でお洗濯。
紐付き洗濯ばさみ、ちゃんと持ってきましたが、便利!
見て見て~!
先発隊のみなさん(まめたさん、鹿さん、いからしさん)の御手。
日焼け止め、それも強力なのがマストですねん。。
後発隊到着まで暫しステイタイム。
ここがお食事処。
みんな揃って食卓を囲んだのが、19時半頃。
夕飯をいただいたあとは、ここは温泉は無いのであとは寝るだけ。
裸電球、それもくらいのしかないお部屋で、体勢を整えて就寝…。
2日目:朝5時半朝食。
朝7時、薬師沢小屋からいよいよ高天原に向けて出発!
最終日は、ここを右へ行くことになるんだな…。
高天原への道は…
こんな感じ。。
A沢、B沢、C沢、D沢と4つの沢があり、
その都度、登ったり下ったりを繰り替えし。
ほんとマジきつかった…。
ARUGAさんは途中で沢にペットボトルを落とすし、
恭子さんも水筒を落とすし。
でも、わが身を落とさないだけでも良かった、と思わないと…(^^;
朝10時の早めのお昼タイム。
あんなに辛かったのに… 写真がほとんどない(笑)
アタリマエか、
辛くて写真を撮る余裕も暇もなかった、ってコトですねん、きっと。。
かろうじて残っているのは、高原の可憐な草花のみ。
こうやって年月と共にツライ想い出は跡かたなく消え去り、
綺麗な想い出だけが残っていくのね…。
ここまでくると…高天原は目と鼻の先。
お花畑を行く…。
見えた! これが高天原山荘。
16時到着。
内装、カフェみたい。ここが食事処。
お夕食pm5時、朝食am5時。
今回の旅路の最大の目的地、高天原山荘に着いたのは16時半。
晩御飯までの間、暫し冷えたビールで喉を潤す。
スノーピークの、このチタンカップが相当冷えが良い!
癖になりますね。
カンパ~イ!!
そしてこんな山奥なのに、四合瓶が3本(笑)
真陵・大洋盛・壱醸、いずれも新潟のお酒。
そう、毎度のごとくARUGAさんが越後の酒蔵故にチョイスを頼まれ。
ARUGAさん的にはプラかパウチに入れ替えて持って行こうと思っていたら、
隊長がひとこと、
「それじゃ雰囲気、出ないねぇ」
そのおかげ?でこんな、まるでいいちこのポスターみたいなシチュエーションに(笑)
手分けして担いで持ってきてくださった、男性陣に感謝m(__)m
(でも実はもう中身はほとんど1日目に消費完了…ほぼ空瓶だけという(笑))
今宵の寝床。
18時頃、お夕飯。
お夕飯を済ませてから、いよいよ高天ヶ原温泉へ!
実は高天原山荘から徒歩約20分。
川の流れに沿って、温泉が点在。
夜にも来て見たのだけれど。
このとおりの漆黒の闇…。
フラッシュ炊いて、ようやく視認できた高天原温泉。
夜は流石にちょっとコワイので浸からなかったのですが、
浸かった男性陣は、満点の星空に抱かれて、闇夜の露天風呂を相当楽しんだとか♬
朝5時朝食。
朝6:45、またまた温泉場へ。
…ここに、浸かりたかったのよ…♨
この露天風呂のほか、男性用の四角いお風呂と、
女性用の丸い露天風呂あり。
女性専用露天風呂は、カーテンが引いてあり。
高天原温泉の温泉分析書。
10時頃までお湯と戯れ、
高天原山荘に戻ってきて、
10時半、早めのランチタイム。
お土産に…ここでしか買えない高天原Tシャツを。
気になるニュアンスカラーがたくさんあって、迷ったのだけど…
この真ん中のピンクをチョイス。
高天原山荘を後にし、来たお花畑の道を戻る。
薬師沢⇔高天原、来るときはこの道を通ったけど、
もう一つの看板の指し示す雲ノ平が目的地。
隊長が、「ここまで来たのなら、みんなにあの景色を見せたい」とのイチオシで、
目的地に追加された場所。
また、そこまでが遠くてかなり険しいのですけどね…汗
あんな道、こんな道、登ったり下ったりしながら、進む、進む…。
ちょいお疲れなのか、森の小人たちのような、愉快な3名さま(笑)
そんなこんなしているうちに、こんな絶景が目の前に広がり、
雪原が目の前に!
(モデル鹿さん)
なんだろうね、この風景…。
普段の生活じゃ、絶対に目にすることない景色…。
いよいよ、雲の平近くまで来ました!
雪原を見ながら、身体を休める隊長。
あれに見えるは雲ノ平山荘!
このあたりで、唯一、みなの携帯が一斉に鳴りました。
(それまで電波入らず死亡中…)
この道を行けば、雲ノ平山荘。
16:30、雲ノ平山荘、到着。
今晩の寝床。
17時、お夕食
石狩鍋、だったかな、鮭入り。
最終宿泊地点にたどり着いた達成感! 乾杯!!
ほんと、カフェみたい。。
よなよなエールも売っていたので(550円)、
一本手にお散歩、この日もまたアイシングへ~
一刻一刻と変わる空を眺めながら、冷たい水に足を浸し。
雲ノ平山荘の水道は、本当にちょろちょろしか出ないのですが、
ここの清水を持って行くってのはできないのかな…と思案。。
このオタ芸やっているようなヒト(笑)は、オタ芸やっているわけではありません。
まとわりついてくる小さな虫をタオルで払っている図…。(モデルARUGAさん)
白ワインをいただいていたのですが、
思い付きでグラスに空模様を写してみると… イイ感じ◎
夕陽に後ろの山々が照らされ。(photoby鹿さん)
さらにいっそう紅が色濃く…。
雲ノ平山荘、温泉は無いけれど、
隊長がみんなを連れて行きたい、と言った意味が、分かった気がしました。
夜はお宿の貴重なビデオを見せていただいたり、
『花洛(からく)』という京都のお酒をいただいたり。
雲ノ平の思い出に、このピンクの雲ノ平山荘の手ぬぐいも購入。
21時。明日の行程を確かめる隊長。
「うーむ…。明日は2時起床かな。。」
衝撃の一言を聞いて、皆、22時前に速攻就寝…。
am2:45出発、
私たちは、暗闇の山道を歩いていました…。
未明の山は冷える…。
昼間の暑さからしたら、気持ちよいほどだけれど。
6時半。
辿り着いた薬師沢小屋の前で、朝ごはん。
初日に宿泊したお宿だけど、今になって発見。
「大東新道(注:私たちが高天原温泉まで行くのに通った道)、上級者向けのコース。
薬師沢小屋~B沢で会いまでの約1時間半は川原沿い歩き。
B沢~高天原峠までは主に急登続き。
ハシゴ、鎖場やロープ1本で上り下りする箇所あり。」
masumi「…?? 隊長~! なんか、上級者コースって書いてあるんですけど~!?」
隊長 「ん~~??」(注:トボけたフリ(笑))
masumi「聞いてないんですけどぉ~~!!」
雲ノ平直登ってことは、
ここを早朝に降りてきた私たちにとっては、直降ってコトね…汗
どのくらい急だったのか…証拠写真を収めるほど余裕なかったようなので、
画像はなし、ご想像にお任せ致します(笑)
この画像は確か…
隊長「あの山の上まで歩くんだよ」
一同「えーーーー!?!?!」
あの山の上はここ、太郎平小屋。
10時、太郎平小屋到着!
朝3時に歩き始めて、10時迄7時間歩きっぱなし!
最終日はみんなで一緒に太郎平小屋で乾杯出来てよかった~♬
ここまで来たら、あとは折立まで下山すればいいだけ!
初日、あの灼熱の太陽に負けそうになったこの道、
下り坂だからまだ気が楽。
山岳救助隊のヘリ。
「あのヘリに乗って、ひとっ飛びしたいなぁ…」
何度口にしたことか。
それでも、なんとか、無事に行って来れました!
憧れの高天原温泉へ♨
また行く?と聞かれたら、恐らく答えはNO!
「ヘリで行けるなら行くけどね~♪」
<備忘メモ>
鳴子の『たまごや』さんのポストカードにメモで走り書き。
【高天原♨に行ってよかったこと】
・朝型になった(5時に朝ごはん、2:45出発)
・夕陽(夕焼け)がこんなにキレイだった!
・アイシングのおかげで筋肉痛しらず(ほぼ)
・漆黒の闇の中の星空 夏にみる冬の星座
・ミニマニスト
・ごみをもちこまない、ごみをださない工夫
・手ぬぐい重宝! 洗濯はさみ、軍手(通気性よし)
・水場のありがたさ 節水
・長袖のふわっとした服、水洗いすれば翌日着られる
・(日常的に)30分歩くことが苦じゃなくなる(12時間歩き詰めだったことを思えば)
・空の青さ(ハンパない青)
【イヤだったこと】
・湯水の如く、水が使えない
・お風呂に浸かれない日もある(沢水に浸した手ぬぐいでぬぐう)
汗拭きシート大活躍
・トイレ くさい
・朝食夕食早い
・不便
・荷物重い→自分で背負うしかない
↑↑うーん、今見るとリアルな感想が…汗
でもまた、あの大自然に戻りたくなっているのは、何故なんだろう…。
<おまけ:当時2018年7月の絵日記(Facebook)からの引用>
初めて山登り温泉に連れて行って貰ったのは、2009年の沼尻元湯、
それから2011年三斗小屋温泉煙草屋、その後、本沢温泉(2015年)、赤湯山口館(2016年)、法華院山荘、白馬鑓温泉(2017年)、そして今回の高天原温泉。
今回の高天原は、山登り温泉のなかでも最高ランクの難儀度、
白馬鑓みたいに、ひたすら2,000メートルを登って~ではなく、
あれだけの高度差登ったのに同じくらい沢まで下りゼロクリア(笑)、
そしてまた同じくらい登り~を一体何回繰り返したことか。
特に二日目の、薬師沢から高天原へ抜ける、あのA沢、B沢、C沢、D沢、E沢(何て単純な命名だこと!笑)、5つの沢クリアでは、
正直笑っちゃうほど、困難感満載の道なき道を行く上級者コース。
太陽の日差しでストック持つ手の甲が見事に焼けたり(今、皮むけ始めましたw)、
足がパンパンにむくんだり、ひたすら流れる汗はぬぐってもぬぐっても収まらず。
少し早い夏休み10連休の最後に想うのは、
やはり前半の正味4日間を費やした高天原温泉のこと。
一日ではたどり着けない秘湯中の秘湯、二日歩いてたどり着き、また二日歩いて戻ってくる。(折立→太郎平→薬師沢(泊)→高天原(泊)→雲ノ平(泊)→太郎平→折立のコース)
累積標高上り4,300m、累積標高下り5,400m、距離にして約60km、
時間にして4日間中45時間歩いた換算。
(最終日は朝3時から14時間ぶっ続けで下山…)
入浴できるのは高天原でのみ。
究極のミニマニストだと思うんです、登山者って。
三日分の最小限の着替え、大事な水、予備の行動食、道中出てしまうゴミ、汚れもの…。
あれもこれも便利グッズは持っていきたい、でもそうなると自分が背負う荷物が重くなる。
(でも、山歩きには必ずケロリン手桶はぶら下げていきますが!)
そんな一切合切を自身で背負って、次の目的地まで自身の足で一歩一歩歩く。
大変でツライ山歩きをしてまで、秘湯に行かなくてもいいや、と思っていたのに(笑)、何で歩いてまで山温泉に行くのだろう? 達成感かな? 多分、それもある。
すぐに行けちゃう温泉に、極度にわくドキするような温泉地が少なくなったから?
多分それもある。
今回、高天原に行く前と行った後とで違うコト。
*確実に朝型になった
*半端ない空の青さを実感
*水場の有難さを実感した(湯水の如く~と言うが、水が使えない状況&節水への意識)
*最終日14時間歩き詰めだったことを考えれば、たかが30分~1時間歩くことは苦じゃない
*夕焼けがこんなに綺麗なものだったとは!
*漆黒の暗闇で見る星空の綺麗さを実感
最後に飯出隊長のお言葉を。
「なんとかすべての行程を無事に怪我も脱落者もなく、予定通りこなせたことは見事でした。今回の経験は必ずや今後の人生の糧になってくれると信じます。
あのときあんなに頑張れたのだからなんのこれしき、と思い出させてくれることと思います 」
山登り&山温泉以上に、人生で掛けがえのない体験をさせていただいた気がします。。「行けてよかった」
同行のたくましきみなさん! そして飯出隊長、
辛いのも笑いも、終始共有させていただき、ありがとうございました!!
お疲れさま焼肉会で、語りましょう(笑)
(追記)山温泉歴の整理
2009年 沼尻元湯
2011年 三斗小屋温泉煙草屋
2015年 本沢温泉
2016年 赤湯山口館
2017年 法華院山荘、白馬鑓温泉
2018年 高天原温泉
2019年 奥黒部探湯行:阿曽原・仙人・祖母谷
#高天原温泉 #高天ヶ原 #歩いてしか行けない温泉 #薬師沢小屋 #雲ノ平山荘
#高天原山荘