** Season's Greetings ** 湯楽粋笑

季節のご挨拶:温泉と日本酒、全国各地のたのしいことや美味しいもの、いろいろ。

米百俵の精神。

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島宏氏著の『米百俵小林虎三郎の天命』を読みました。

2001年に小泉純一郎前首相が、国会答弁で『米百俵』の話を持ち出したところから、
全国的にもその話が知れ渡るところとなりましたが、
実は私、新潟県長岡市には住んでいたのですが、元は三条市民、
米百俵』の話は、お恥ずかしながら正確なところは知らなかったのです。

この機会に、私の整理も兼ねてかいつまんでお伝えします。

「常在戦場」の家訓
長岡祭り(毎年8月1日~8月3日)になると、商店街のアーケードに掲げられるこの旗。
四文字熟語で調べど、ネットで調べど、ずーっと分からなかったのですが、
本を読んでやっと分かりました。

徳川十七将のひとりであり、長岡藩初代藩主牧野忠成は
元々牧野家は三河国牧野村(現豊橋市付近)の出身。
牧野村は自軍を進める上で地形上あまりよくない土地だったらしく、
常に他方からの侵略の威嚇にさらされてきた。
そのため、牧野家は常に戦場にいる心構えを持って周囲に注意を払わなければならず、
それが「常在戦場」と言う家風になった。
その後、縁あって長岡と栃尾の長岡藩を所有することになり、
その家風がそっくり長岡へ移ってきた。

小林虎三郎の教育論
「今日のように日本が欧米諸国に押し流されようとしているのは、誰もが学問を怠けているからである。
早急に若者に勉学を省令し、人材の育成をしなければならない。
そのためにはまず、上級学問を考えずに、小学教育からはじめなければならない。
文字を習わせ、儒学経書を教え、外国についての知識を教授して、児童達を啓発しなければならない。
更に優秀なものには、江戸に出て儒学、武術、洋楽を学ばせなければならない」
(1858年に虎三郎自身が書いた『興学私議』による)

戊辰戦争で敗北した長岡藩にあって、
「人材育成なくして長岡藩の復興は無い」と説いた虎三郎。
米百俵藩士に均等に配分したとて、一人当たりたった一握りの米、
「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」と、
長岡藩を復興させるには人材育成が先だと納得させた虎三郎。

一時の飢えを忍んで、とまでは言いませんが、
虎三郎の教育論は、現代に重ね合わせると、
ゆとり教育」に始まる公立教育のあり方を説いているような気がしてなりません。

例えば今の義務教育では世界地図すら見せない、とか・・・。
その程度でグローバル化していく現代の社会に、正しい認識と判断を持って生きていけるのか・・・?
教育こそ人が、会社が、社会が発展していく全ての基礎だと、私も思います。


※画像は、長岡市千秋が原(せんしゅうがはら)・ハイブ長岡周辺にある『米百俵の群像』です。
 ウィキペディア米百俵」掲載ページよりお借りして来ました。